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熟年離婚で慰謝料はもらえるのか? 相場はいくらなのか解説します

熟年離婚では慰謝料を請求できることもあります。配偶者の不貞行為やDV、モラハラにより精神的苦痛を被った場合です。そのほか、夫婦が長年、共に築いた共同財産についての財産分与や年金分割、婚姻費用、退職金など様々な財産をどのように分割するかも大きな問題となります。
慰謝料を請求できるケースやその場合の金額や相場について解説します。
 

熟年離婚で慰謝料はもらえるのか? 相場や財産分与、退職金についても解説

熟年離婚とは、長い間一緒に暮らしていた夫婦が、熟年になってから離婚することで、子どもの独立、定年退職などをきっかけに検討する夫婦が増えています。
熟年離婚では、財産分与、年金分割、婚姻費用、退職金など様々な財産の請求ができる他、慰謝料を請求できることもあります。
熟年離婚で慰謝料を請求できるのは、どのようなケースか? 慰謝料を請求する方法や事例ごとの相場も解説します。
 

熟年離婚とは

熟年離婚とは、20年以上といった長い間一緒に暮らしていた夫婦が、熟年になってから離婚することです。
 

  • ・子どもが独立したのを機に離婚する。
  • ・定年退職したのを機に離婚する。

 
こうした夫婦が増えています。
 
熟年離婚では、未成年の子どもの親権をめぐる争いや養育費の問題はありませんが、長年の共同生活により築いた夫婦の共同財産の分け方、つまり、財産分与が離婚の条件について話し合いをする時の重要なテーマになります。
 
高齢になっている方も多いため、離婚後の生活や住居などの不安を抱えることも多く、できる限り多くの財産を手にして、経済的な安定を確保しようとする方も少なくありません。
 

熟年離婚で慰謝料を請求できるのか?

熟年離婚を検討する方の中には、慰謝料を請求したいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、
「長い間、家事に追われて、夫に尽くしたのだから、夫には慰謝料を支払ってほしい」
「長い間、家に金を入れて食わせてやったのだから、妻には慰謝料を支払ってほしい」
こんな風に考えるかもしれません。
 
しかし、慰謝料は離婚する際に必ず請求できるものではありません。
また、長年一緒に暮らしたことに対する労りを求める意味で慰謝料を請求できるというものでもありません。
 
慰謝料は、配偶者が離婚原因となる有責行為を行っていたために、被害者が精神的苦痛を被ったケースで請求できるものです。
 

熟年離婚で慰謝料を請求できるケースとは?

熟年離婚で慰謝料を請求できるのは、配偶者が離婚原因となる有責行為を行っていた場合です。
例を挙げると次のような行為があったケースです。
 

  • ・不貞行為(不倫、浮気)
  • ・DV(ドメスティック・バイオレンス)
  • ・モラハラ(モラル・ハラスメント)
  • ・悪意の遺棄
  • ・ギャンブル依存、過度な借金、アルコール依存等、正常な婚姻関係を維持できない事由がある場合
  • ・正当な理由のないのに性交渉を拒否している場合(セックスレス)

 
一つ一つ具体的に確認しましょう。
 

不貞行為(不倫、浮気)

配偶者の不貞行為が原因で離婚する場合は、慰謝料を請求することができます。
ただ、男女間の非道徳的な行為については、不倫、浮気、不貞と様々な態様がありますが、慰謝料を請求できるのは、「不貞行為」の場合だけです。
不貞行為とは、配偶者がいる人が自由な意思に基づいて、配偶者以外の人と性的な関係(肉体関係)を持つこととされています。
そのため、肉体関係がないものの他の異性と配偶者以上に仲良くしているという程度では、原則として慰謝料を請求することはできません。
 

DV(ドメスティック・バイオレンス)

配偶者からDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けていることが原因で離婚する場合は、慰謝料を請求することができます。
DVには様々な種類があります。
 

  • 身体的DV :殴る、蹴る、叩くなどの直接的な暴力。体に当たらなくても物を投げつけたり、刃物で脅す行為も含まれます。
  • 精神的DV :大声で怒鳴る。暴言を吐く。大切な物を壊す。無視して口をきかない。
  • 経済的DV :生活費を渡さない。仕事を制限したりやめさせる。
  • 性的DV :嫌がっているのに性行為を強要する。見たくもないポルノビデオを見せられる。

 
熟年離婚の場合は、こうしたDVが長年に渡り繰り返されているケースもあります。このような場合は、慰謝料の額が高額になることもあります。
 

モラハラ(モラル・ハラスメント)

配偶者からのモラハラ(モラル・ハラスメント)を理由に離婚する場合は、慰謝料を請求することができます。
モラハラとは、倫理や道徳に反した嫌がらせや精神的な暴力のことです。
精神的DVと似ていますが、精神的DVはより積極的に相手を傷つける意図でなされるのに対して、モラハラは行為者が自覚しないで行っていることもあります。
長年の習慣としてモラハラが当たり前のように行われていて、被害者の方も第三者から指摘されるまでは、モラハラの被害者であることに気づかないケースもあります。
それだけに、モラハラは被害者の方が被害を受けていることを自覚したうえで、しっかりと被害を主張することが大切になります。
モラハラが長年に渡り繰り返し行われているケースでは、慰謝料の額が高額になることもあります。
 

悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、民法第770条に明記されている法定離婚原因の一つです。
民法第752条には、夫婦間の義務として、「同居」、「協力」、「扶助」の義務が定められています。
これらの義務を意図的に放棄している場合が、悪意の遺棄になります。
具体的には、
 

  • ・同居を拒んで別居している。または家を追い出された。
  • ・家事などに協力しない。
  • ・病気療養中の配偶者の面倒を見ない。
  • ・生活費を渡さない。

 
といったような行為が正当な理由なく行われている場合です。
悪意の遺棄が原因で離婚する場合も、慰謝料を請求することができます。
 

ギャンブル依存、過度な借金、アルコール依存等、正常な婚姻関係を維持できない事由がある場合

ギャンブル依存、過度な借金、アルコール依存等の度が過ぎて、正常な婚姻関係を維持できない事由がある場合は民法第770条の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に該当し、離婚を求めることができます。
こうした行為が長年継続していて、被害者が我慢を強いられていたケースでは、慰謝料を請求できる可能性があります。
 

正当な理由のないのに性交渉を拒否している場合(セックスレス)

熟年離婚でもセックスレスが離婚の原因となることがあります。
正当な理由のないのに性交渉を拒否しているケースでは、拒否されている側は、慰謝料を請求できる可能性があります。
もちろん、二人とも高齢で性交渉ができない状態だったり、双方とも望んでいない場合は、セックスレスには当たりませんし、慰謝料を請求できないこともあります。
 

熟年離婚の慰謝料の相場

熟年離婚の慰謝料の相場は、離婚原因により異なりますが、50万円~300万円が相場とされています。
離婚原因ごとの相場の目安は次のとおりです。
 

離婚原因 慰謝料の金額の相場
不貞行為(不倫、浮気) 150万円〜300万円
DV(ドメスティック・バイオレンス) 150万円〜300万円
モラハラ(モラル・ハラスメント) 150万円〜300万円
悪意の遺棄 150万円〜300万円
ギャンブル依存、過度な借金、アルコール依存等、正常な婚姻関係を維持できない事由がある場合 100万円〜200万円
ギャンブル依存、過度な借金、アルコール依存等、正常な婚姻関係を維持できない事由がある場合 50万円〜100万円

 

熟年離婚で慰謝料を請求できないケースとは?

離婚の慰謝料は、既に紹介した有責な行為があった場合のみ請求できるものです。
有責な行為がない場合は、離婚の慰謝料を請求することはできません。
よくあるパターンを紹介します。
 

離婚の理由が性格の不一致である場合

「性格の不一致」を理由とする離婚は、熟年離婚に限らず、どの年代の離婚でも多いです。
熟年離婚の場合、「性格の不一致」を承知の上で、子どもが小さいからとか、子どもが独り立ちするまで我慢しようという感じで、婚姻生活を続けていたケースも多いと思います。
このような場合、長年、耐え忍んだのだから、慰謝料を請求したいと考えるかもしれません。
 
しかし、慰謝料は、離婚に至った原因や責任が相手にある場合に請求できるものです。
性格の不一致は、どちらに原因や責任があるとも言えないので、慰謝料を請求することはできません。
 

離婚に至ったことについて自分にも非がある場合

離婚に至った原因や責任が相手だけでなく自分にもあるケースでは、慰謝料を請求できないことがあります。
例えば、夫婦の双方が不貞行為をしているケースでは、双方が、慰謝料を請求しあう関係になります。
そのため、双方の請求が相殺される形になって、慰謝料が0円になることもあります。
 
ただ、双方に非があるケースでも、一方の有責性がより重いケースでは、重い側に対して慰謝料を請求できることがあります。
 

熟年離婚で慰謝料を請求する方法とは?

慰謝料を請求できるのは、相手が不貞行為やDVを行っていた場合等です。
そして、こうした行為を行っていたことの証拠がないと、慰謝料を請求するのが難しいことがあります。
夫婦の間では、不貞行為やDVが行われていたことは承知していても、第三者が判断するには証拠が必要です。
例えば、離婚調停に持ち込まれた場合は、調停委員が有責行為の有無を判断するにあたっては当事者の言い分だけでなく、客観的な証拠が必要になります。
裁判離婚になった場合も、裁判所は、事実認定に際して、証拠の提出を求めてきます。
 
有責行為ごとの主な証拠は次のとおりです。
 

不貞行為(不倫、浮気)

 

  • ・配偶者と不貞相手がラブホテルなどに出入りしている写真や動画
  • ・配偶者と不貞相手の間で交わされたメール、LINEなどのやり取り
  • ・探偵事務所や興信所による調査報告書

 

DV(ドメスティック・バイオレンス)

 

  • ・配偶者が暴力を振るったり暴言を吐いているシーンの録画や録音
  • ・ケガの程度を示す証拠写真や医師の診断書
  • ・公的機関に相談した際の記録
  • ・暴力、暴言を受けた様子を記録したメモや日記

 

モラハラ(モラル・ハラスメント)

 

  • ・配偶者が暴言を吐いているシーンの録画や録音
  • ・暴言を受けた様子を記録したメモや日記

 

悪意の遺棄

 

  • ・別居していることの証拠として賃貸借契約書等
  • ・生活費をもらえていないことを示す預金通帳や家計簿の記録

 

ギャンブル依存、過度な借金、アルコール依存等、正常な婚姻関係を維持できない事由がある場合

 

  • ・生活費を入れておらず家計が破綻寸前になっていることを示す預金通帳や家計簿の記録

 

正当な理由のないのに性交渉を拒否している場合(セックスレス)

 

  • ・セックスレスについて夫婦で話し合った際の録画や録音
  • ・セックスレスについて記録したメモや日記

 

熟年離婚で慰謝料以外に請求できる金銭や資産とは?

熟年離婚では、慰謝料以外にも受け取れる金銭や資産があります。
高齢で熟年離婚するケースでは、離婚後の生活で困窮しないようにお金や資産をしっかりと受け取ることが大切です。
 

財産分与

財産分与とは、夫婦が長年の婚姻生活で築いた共同財産を公平に分け合うことです。
夫婦の財産には、夫婦それぞれの特有財産と共有財産の2種類があります。
特有財産は、婚姻前から有していた財産や親から相続した遺産などが代表例です。
共有財産は、婚姻後に夫婦で力を合わせて稼いだ財産のことです。
 
夫婦によっては、一方だけが働いて収入を得て、他方は専業主婦(主夫)だったというケースもあるでしょう。
このような場合でも、婚姻後に得た収入は、原則として共有財産に当たります。
専業主婦(主夫)の方でも、その収入により築いた財産の2分の1を請求できる権利があります。
 
財産分与の対象になることが多い主な財産は次のとおりです。
 

  • ・預貯金
  • ・不動産
  • ・自動車
  • ・有価証券

 

退職金の財産分与

退職金も財産分与の対象になります。
退職金は、勤続年数に応じて支払われることが多いわけですが、このうち、婚姻期間に相当する分については、相手方配偶者にも財産分与を請求する権利があります。
 
例えば、勤続期間40年の夫が2000万円の退職金をもらったとします。そして、婚姻期間が20年だったとしましょう。
この場合、退職金の半分である1000万円については、妻も財産分与を求めることができます。
財産分与の割合が2分の1であれば、500万円を請求することができることになります。
 
退職金は、熟年離婚の際にまだ働いている場合は、会社からもらっていないケースもあります。
このような場合でも、退職金が支払われたタイミングで請求することが可能です。
もっとも、離婚後に支払われるケースではもらいそびれてしまうこともあるため、退職金が支払われることを見越して、離婚時に請求しておくことも可能です。
 

年金分割

年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の部分に相当する部分について分割を求めることができる制度です。
婚姻期間中の厚生年金の支給額の計算の基となる報酬額(標準報酬)の記録が分割されて、年金の支払い時に反映されます。
年金分割を行った場合、収入が少ない側は年金が増えますが、収入が多い側は年金が減ってしまいます。
 
なお、年金分割により年金が増えるケースでも、期待したほど年金が増えないというケースもあります。
年金が増えることを当てにして老後の生活を考えている場合は、果たしてどれくらい増えるのか、よく調べることが大切です。
 

婚姻費用

熟年離婚する前に別居期間がある場合は、別居期間中の婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用とは、夫婦が共同生活を送るために必要な衣食住の費用や医療費などのことです。
特に、別居したことによって、賃貸物件を借りたりする費用が掛かることが多いですが、婚姻関係が継続している間は、収入の少ない側から収入が多い側に対して、婚姻費用という形で請求することができます。
 

まとめ

熟年離婚でも、慰謝料を請求できることがあります。
慰謝料を請求できるのは、不貞行為、DV、モラハラなどが行われていた場合ですが、請求する際には、こうした行為が行われていたことの証拠を押さえることが大切です。
また、慰謝料以外にも、財産分与、年金分割、婚姻費用を請求することも可能です。
このように熟年離婚では、様々なお金や財産を請求できるため、もらいそびれないように注意しましょう。
熟年離婚で慰謝料を請求したいと考えている方は、まず、弁護士にご相談ください。

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