不倫・離婚の慰謝料は男女で差はあるのか? 男性と女性で請求方法に違いがあるのかも解説
不倫の慰謝料は男女で差はありません。離婚の慰謝料は女性から男性に請求するケースが多いため、女性だけの権利というイメージがあります。しかし、女性だから必ず請求できるものではなく、不倫・離婚の慰謝料を請求するには証拠を押さえなければなりません。不倫・離婚の慰謝料を請求するためのポイントについて解説します。
不倫・離婚の慰謝料は男女で違いや差はある? 慰謝料請求の重要ポイントも解説
不倫・離婚の慰謝料自体には、男女で違いや差はありません。
ただ、離婚する際は、女性(妻)が男性(夫)に対して、財産分与を求めたり、養育費や婚姻費用を請求できることが多いため、女性側が受け取れる金銭が多くなりがちです。
そのことから、離婚の慰謝料も女性(妻)が請求するものというイメージがあります。
しかし、離婚の慰謝料は、配偶者の不貞行為等、離婚の原因となる行為がなければ請求できません。
不倫・離婚の慰謝料を請求をするためのポイントを解説します。
離婚や不倫、浮気の慰謝料は女性がもらうものではない
離婚することになった場合や不倫、浮気が発覚した場合は、女性が男性に対して慰謝料を請求するケースが多いです。
例えば、
- ・離婚であれば、妻が夫に離婚の慰謝料を請求する。
- ・不倫、浮気であれば、妻が夫やその不倫相手の女性に慰謝料を請求する。
という具合です。
こうした事例が多いことから、離婚や不倫、浮気の慰謝料は女性がもらうものというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、離婚や不倫、浮気の慰謝料は女性がもらうものではありません。
そもそも慰謝料とは何か?
慰謝料とは、相手方の不法行為により損害を被った被害者が、精神的苦痛も被っている場合に加害者に金銭的な補償を求めるものです。
離婚された場合や不倫、浮気された場合(配偶者が不貞行為を行った場合)は、された側の配偶者は、言葉では表せないほどの精神的な苦痛を被ります。このような痛手を受けたことの償いを相手に求めるのが慰謝料請求です。
慰謝料は、離婚や不倫、浮気、不貞行為以外でも請求することがあります。
例えば、交通事故で被害者になった方は、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などを請求することができます。
慰謝料に男女の差はあるのか?
慰謝料を請求する場合に、請求者が男性であるか女性であるかにより、金額に差が生じるのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、交通事故の慰謝料では、傷跡が残るような後遺障害が残った場合、被害者が女性だと男性よりも後遺障害等級の程度が重くなることがありました。男性の場合、「男子の外貌に醜状を残すもの」として14級が認定されていたところ、女性なら、「女子の外貌に醜状を残すもの」として12級が認定されるといった具合です。
しかし、現在ではこうした男女の違いはなくなっています。
離婚や不倫、浮気の慰謝料については、もともと男女の違いはありません。
- ・男性から離婚を切り出したほうが慰謝料の額が大きくなる。
- ・男性が不倫した方が慰謝料の額が高くなる。
といった形で、男女の差が生じていたわけではありません。
慰謝料の金額に男女の差が生じる理由とは?
繰り返しになりますが、慰謝料の金額に男女による違いはありません。
ただ、その他に受け取れる項目の金額に差があることから、慰謝料の金額に男女の差が生じるように見えてしまうということはあります。
交通事故では逸失利益で男女差がある
例えば、交通事故の被害者が受け取れる金銭は女性よりも男性の方が多いことがあります。金額に差が生じる理由は、逸失利益として受け取れる金銭が男性の方が多いためです。
逸失利益とは、将来得られるはずの収入等が、交通事故の後遺障害の程度が重く、働けなくなったとか、死亡したため、得られなくなった場合に請求できる金銭です。
逸失利益を算定する際は、男女別の賃金センサスを根拠とすることが多いことから、男性の方が女性よりも逸失利益が高くなる傾向があります。
離婚の慰謝料は女性の方が多く受け取れる?
離婚の慰謝料は、男性(夫)が請求するケースは少なく、女性(妻)が請求するものというイメージがあります。金額も女性が請求する方が多額になるように見えるかもしれません。
離婚に際して、女性の方がトータルでもらえる金銭が多くなるのは、次のような理由によります。
- ・夫婦の共有財産が夫名義になっていることが多く、財産分与により女性(妻)に多額の財産が移転するから。
- ・別居期間が長い場合は、収入の少ない女性側が婚姻費用を請求できるから。
- ・女性(妻)が子を養育する場合、養育費を請求できるから。
- ・年金分割により、収入の少ない女性側の年金の額が増えるから。
このように慰謝料以外の項目により、女性の方がトータルでもらえる金銭が多くなる傾向があります。
不倫、浮気、不貞行為の慰謝料は女性の方が多く受け取れる?
不倫、浮気、不貞行為の慰謝料は男女のどちらから請求する場合でも、金額に違いはありません。
女性(妻)が浮気した場合でも、男性(夫)から、妻や浮気相手に対して慰謝料を請求できますし、男性(夫)が浮気した場合も同様です。
慰謝料としていくら請求するかは、浮気された側の配偶者がどの程度の精神的苦痛を被ったのかにより異なります。
婚姻期間の長さや未成年の子どもの有無など、様々な要因により金額は上下します。
また、請求された相手の収入により、実際に払える金額によっても変わることがあります。
不倫、浮気、不貞行為の慰謝料は、様々な要因により、50万円から300万円といった相場で金額が上下しますが、この点に男女差が絡むことはありません。
離婚の慰謝料を請求する方法に男女で違いはあるのか?
離婚の慰謝料を請求する方法については、男女で若干の違いがあります。
具体的にどのような場合に、離婚の慰謝料を請求できるのかや請求方法についても確認しましょう。
離婚の慰謝料を請求できるケースとは?
離婚の慰謝料は、離婚する場合に必ず請求できるわけではありません。
夫婦の一方が、離婚の原因になる行為を行っていた場合に、被害者が請求できるものになります。
具体的には、加害者の配偶者が次のような行為を行っていた場合に請求できます。
- ・不貞行為(不倫、浮気)
- ・DV(ドメスティック・バイオレンス)
- ・モラハラ(モラル・ハラスメント)
- ・悪意の遺棄
- ・ギャンブル依存、アルコール依存、過度な借金
- ・正当な理由のない性交渉の拒否(セックスレス)
いずれの行為も、男性(夫)だけがやる行為と決まっているわけではありません。
女性(妻)がDVやモラハラをしていれば、男性(夫)から離婚の慰謝料を請求されることもあります。
離婚の慰謝料を請求する場合の流れ
上記のような行為により精神的苦痛を被ったことを理由として、被害者側が慰謝料を請求するにはどうしたらよいのでしょうか?
基本的な流れは、次のとおりです。
- ・加害者の不法行為の証拠を押さえる。
- ・離婚と慰謝料請求する旨を申し出る。
- ・話し合い、調停、裁判により離婚を成立させる。
まず、離婚の慰謝料を請求するには、相手方が離婚の原因になる行為を行っていたことの証拠を押さえる必要があります。
例えば、不貞行為(不倫、浮気)であれば、探偵などに依頼して、配偶者が不倫相手と頻繁にラブホテルなどに出入りしていたことの証拠を押さえてもらいましょう。
DVやモラハラであれば、そうした行為をされた時の録音や映像の記録、日記やメモなどを残しておきます。
こうした証拠を固めておくことで、加害者側が「そんな覚えはない」とうそをついた場合でもその嘘を覆すことができるわけです。
男性(夫)が離婚の慰謝料を請求する際は財産分与との相殺ができる?
男性(夫)が離婚の慰謝料請求する際は、財産分与との相殺を主張することも可能です。
例えば、夫婦の共同財産が夫名義で2000万円あったとしましょう。
この場合、夫が妻に対して1000万円を財産分与するのが基本になります。
そして、夫が妻に対して、離婚の慰謝料として、200万円を請求するのであれば、妻に1000万円を財産分与した後で、200万円を返還してもらうのでは手間が掛かりますので、最初から相殺したうえで、800万円のみ財産分与するという形で離婚の慰謝料を支払ってもらったことにすることもできます。
つまり、女性(妻)側からすると、男性(夫)から離婚の慰謝料を請求されると、財産分与を受けられる額が減る可能性があるということです。
離婚の調停、裁判で離婚の慰謝料請求をする場合、男性(夫)は不利になる?
離婚の調停、裁判では、女性(妻)側が有利になることが多いと思われがちです。
確かに、未成年の子どもの親権をめぐる争いや養育費、婚姻費用の請求、面会交流などの面では、女性(妻)側が有利になるケースが多いですが、離婚の慰謝料請求については、どちらが有利とも言えません。
離婚の慰謝料請求で重要なことは、離婚の原因となった行為の証拠を押さえておくことです。
証拠さえしっかり押さえておけば、調停で調停委員に説明して納得してもらうことができますし、裁判になった場合も、裁判官に離婚原因を認めてもらいやすくなります。
女性(妻)が離婚の慰謝料を請求する際は財産分与の額を増やしてもらえる?
女性(妻)が離婚の慰謝料を請求するケースでは、男性(夫)から財産分与を受ける際に慰謝料を上乗せしてもらえることが多いです。
例えば、夫婦の共同財産が夫名義で2000万円あった場合は、妻は1000万円の財産分与を受けられます。
それとは別に、妻は夫に対して、離婚の慰謝料も請求できます。
慰謝料の金額が200万円ならば、財産分与の金額と併せて、1200万円を請求できるということです。
離婚の調停、裁判で離婚の慰謝料請求をする場合、女性(妻)は有利になる?
既に紹介したとおり、離婚の調停、裁判では、女性(妻)側が有利になる傾向があります。
ただ、それは、未成年の子どもの親権をめぐる争いや養育費、婚姻費用の請求、面会交流などだけです。
離婚の慰謝料請求については、離婚の原因となった行為の証拠を押さえておかないと最悪の場合、請求できないこともあります。
離婚の慰謝料請求としてどのような証拠を押さえれば有利になるのかは、ネットの情報だけでは分からないことも多いと思いますので、まずは、弁護士にご相談ください。
不倫、浮気、不貞行為の慰謝料請求の方法に男女で違いはあるのか?
不倫、浮気、不貞行為の慰謝料を請求する方法については、男女で違いはありません。
不倫、浮気、不貞行為の慰謝料を請求するための具体的な流れを確認しましょう。
不倫、浮気、不貞行為で慰謝料を請求できるケースとは?
男女関係の非道徳的な行いについては、不倫、浮気、不貞行為と様々な用語がありますが、慰謝料を請求できるのは、「不貞行為」が行われていた場合だけです。
不貞行為の定義は、判例により、配偶者がいる人が自由な意思により配偶者以外の人と性的な関係を結ぶことを意味すると定められています。
性的な関係とは肉体関係のことです。
そのため、配偶者が浮気相手と、デートしていたとか、路上でキスをしていたという程度では、「不貞行為」とまでは言えないため、慰謝料請求をすることはできません。
不貞行為でも慰謝料請求できないこともある?
配偶者が不貞行為をした時点で、夫婦の婚姻関係が破綻していた場合、被害者は慰謝料を請求することができません。
例えば、既に別居していて離婚したも同然の生活を送っている場合です。
不貞行為の慰謝料を請求する場合の流れ
不貞行為の慰謝料を請求するための基本的な流れは次のとおりです。
- ・配偶者が不貞行為を行っていることの証拠を集める。
- ・不倫相手の氏名や住所を特定する。
- ・不貞行為の慰謝料を請求するかどうか検討する。
- ・慰謝料を請求するための具体的な行動を起こす(内容証明郵便の送付など)。
- ・話し合いを行う。
- ・合意が成立したら示談書などを作成する。
- ・相手が慰謝料の支払いに応じない場合は調停や訴訟に踏み切る。
不貞行為の慰謝料を請求する際も、まずは証拠を押さえることが重要です。
配偶者ではなく、不倫相手に慰謝料を請求する場合は、不倫相手の氏名や住所まで特定しなければなりません。
そして、実際に慰謝料請求する際は、内容証明郵便を送付しておくことが大切です。
内容証明郵便は、いつ、どんな内容の郵便を、誰から誰に対して出したのかを郵便局が証明してくれるものです。
不貞行為の慰謝料請求権は、不貞行為の時から3年経過すると時効により権利が消滅してしまうため、その前に請求していることの証拠を残す必要があります。
不貞行為の慰謝料請求は証拠がないと難しい?
不貞行為の慰謝料を配偶者ではなく不倫相手に請求する場合は、確かな証拠を押さえていないと難しいです。
相手から不貞行為をしていないと言われればそれまでですし、調停や裁判でも、調停委員や裁判官を納得させるためには、証拠が必要だからです。
具体的にどのような証拠を集めればいいのか、証拠の集め方で注意すべきことは何か? などについて、分からないことがある場合は弁護士に相談してください。
まとめ
離婚や不倫、浮気の慰謝料を請求する方法や金額、相場などは、男女で違いはありません。
離婚する場合は、財産分与や養育費、婚姻費用の請求等もあわせると、女性の方が多く受け取れるケースが多いため、女性の方が慰謝料をもらいやすいというイメージがあります。
しかし、慰謝料を請求するには、離婚の原因となった行為の証拠や不貞行為の証拠などを押さえる必要があります。
どのような証拠を押さえたらよいのか分からない方は、まず、弁護士にご相談ください。









