不倫慰謝料を支払う義務が生じるのは,どんなとき?
配偶者のある人と不倫をしたら、慰謝料を払うべきケースがあります。
ただすべての場合で慰謝料が発生するわけではありません。
今回は、不倫慰謝料の支払い義務が発生する場合について解説します。
1.不倫で慰謝料支払い義務が発生するケースとは
一般的に「不倫をしたら慰謝料が発生する」と思われていますし、法律的にも不倫によって慰謝料が発生する可能性はあります。
不倫で慰謝料が発生するのはどのようなケースなのでしょうか?
法律上、不倫を「不貞」と言いますが、不貞とは「配偶者のある人と男女の性関係を持つこと」です。
そこで男女の好意の感情を持っていても性関係がなかったら「不貞」にならず、慰謝料も発生しないのが基本です。単にデートやキスをしたりメール、SNSで親しくしたりしているだけでは慰謝料を支払う必要がありません。
不倫で慰謝料が発生する条件は、「配偶者のいる人と性関係を持つこと」です。
2,慰謝料を払わなくて良い場合
一方不倫の慰謝料請求をされても払わなくて良いケースは以下のとおりです。
2-1.肉体関係がない
「不倫」と言われている相手との間に肉体関係がない場合には「不貞」にならないので慰謝料支払い義務がありません。ただし常識的な範疇を超えて親密な関係があり夫婦関係の破綻原因となってしまった場合には、50万円程度の低額な慰謝料が発生する可能性はあります。
2-2.請求者が肉体関係の証拠を持っていない
実際に性関係があったとしても、請求者が肉体関係を証明できる証拠を持っていない場合には、相手は裁判を起こしても慰謝料支払い命令が出ません。
こちらとしては「払わない」と言い通すことにより、支払いをせずに済ませることが可能です。
ただし証拠がなくても、相手から問い詰められて自白してしまうと、それが不倫の証拠として扱われます。
2-3.時効が成立した
過去に不倫(不貞)をしていたとしても、請求者が不貞の事実と不倫相手を知ってから3年が経過したら慰謝料請求権が時効によって消滅します。
そこで、過去の古い不倫の事実にもとづいて慰謝料請求をされたなら時効を援用して支払を拒絶できる可能性が高くなります。
2-4.性関係を強要された
請求者の主張のとおり相手の配偶者と肉体関係を持ったとしても、強要されたものであれば「不貞」にはなりません。むしろあなたの方が性犯罪の被害者となるので、強要した相手を刑事告訴することも可能となります。
不倫の慰謝料を請求されたとき必ずしも応じる必要はありませんし減額交渉なども可能です。お困りの際には弁護士までご相談ください。