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相手方が自己破産して免責された場合、慰謝料を請求する方法はあるのか?

相手方が自己破産した場合、慰謝料も免責されます。離婚の慰謝料は原則として免責されてしまうため、相手に請求できません。ただ、養育費などは、免責された後でも相手に支払いを求めることが可能です。相手が破産した場合、どのように対処すべきか? について解説します。
 

相手方が自己破産して免責された場合、慰謝料を請求できなくなる?

相手方が自己破産した場合、その時点までに相手方が負っていた債務はすべて免責されてしまいます。つまり、請求者側は相手方に金銭等の支払いを求めることができなくなります。
慰謝料についても、自己破産前の不法行為に基づくものは、原則としてすべて、免責されてしまうため、相手方に支払い義務がなくなります。
慰謝料請求の相手方が自己破産した場合はどう対処すべきなのか、また、自己破産後でも請求できる金銭について解説します。
 

相手方が破産した場合、慰謝料を支払ってもらえないのか?

破産とは、一般的には自己破産のことを意味します。
自己破産とは、破産者が負っている債務について、裁判所がその支払い義務を免除する手続きです。これを免責と言います。
もちろん、債務の免除に際しては、現在、破産者が有している資産の大半は、差し押さえられて、債権者に対して分配する手続きが行われます。
このようにして自己破産の手続きが終わった後で、慰謝料の支払いを求めることはできるのでしょうか?
 
相手方が自己破産した場合は、原則として、あなたが相手方に対して有している債権も含めて、免責されることになります。
あなたが相手方に対して慰謝料の支払いを求める権利も債権なので、これも免責されてしまいます。
そのため、相手方が自己破産した後で、相手方に慰謝料の支払いを請求することはできないということです。
 

相手方が破産した後でも慰謝料を請求できることもある?

相手方が破産した後でも慰謝料を請求できることもあります。あなたの慰謝料請求債権が免責の対象にならない場合です。
 
具体的には、二つのケースがあります。
 

  • ・破産者に免責不許可事由がある場合(破産法252条)
  • ・あなたの慰謝料請求債権が非免責債権に該当する場合(破産法253条)

 
免責不許可事由とは、破産者が財産を隠匿するなどしていた場合や浪費又は賭博その他の射幸行為により著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担していた場合が代表例です。
非免責債権とは、次に該当するもののことを意味します。
 

  • 一 租税等の請求権
  • 二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 三 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 四 次に掲げる義務に係る請求権
  •  イ 夫婦間の協力及び扶助の義務
  •  ロ 婚姻費用の分担義務
  •  ハ 子の監護に関する義務
  •  ニ 直系血族及び兄弟姉妹間の扶養の義務
  •  ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
  • 五 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
  • 六 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
  • 七 罰金等の請求権

 

相手方が破産した後でも慰謝料を請求できるケースとは?

相手方が破産した後でも慰謝料を請求できるのは、あなたの慰謝料請求債権が非免責債権に該当する場合です。具体的なケースを見ていきましょう。
 

悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権に該当する場合

あなたの有する慰謝料請求権が「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」に該当するケースです。
この「悪意」とは、積極的な加害意思を有していた場合を意味すると解されています。
例えば、悪意の遺棄を理由に離婚するケースで、加害者側の配偶者があなたを困窮させて餓死させようといった積極的な加害意思を有していたと認められるような事例だと、「悪意で加えた不法行為」に該当すると考えられます。
こうした積極的な加害行為についての慰謝料は、相手方が破産したとしても請求できます。
 

故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権に該当する場合

あなたの有する慰謝料請求権が「故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」に該当する場合です。
例えば、相手方に殴られるなどして傷害を負わされたことを理由に慰謝料の支払いを求めている場合です。
離婚の慰謝料であれば、DVによって、怪我を負わされたことを理由に慰謝料の支払いを求めている場合が代表例です。
こうした事由による慰謝料は、相手方が破産したとしても請求できます。
 

相手方が破産した後でも請求できる金銭とは?

相手方が破産した後でも慰謝料を請求できるケースがある他、慰謝料以外の金銭を請求できるケースもあります。
特に、離婚時に請求できる金銭には、相手方の破産後も請求できるものがいくつかあります。
 

婚姻費用を請求する場合

夫婦の婚姻関係が存続している間は、夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する義務があります。
この費用のことを婚姻費用と言います。
例えば、夫婦が別居している場合は、婚姻関係が解消されるまでの間、別居生活にかかる費用を負担しあわなければなりません。一般的には収入の少ない側が収入の多い側に対して、婚姻費用を請求することになります。
そして、この婚姻費用は、配偶者が破産したとしても、請求することができます。
 

養育費を請求する場合

夫婦間に未成年の子どもがいる場合は、夫婦の双方が親として子どもの養育費を負担する義務があります。
例えば、子どもが母親と一緒に暮らしている場合は、父親は子どものために養育費を負担しなければならないのが一般的です。
この養育費の支払い義務は、離婚後も当然続きますし、破産したとしても消えることはありません。
 

相手方が破産した後、慰謝料を請求できないケースとは?

相手方が破産した後は、原則として慰謝料を請求することはできません。代表的なケースを見ていきましょう。
 

不貞行為(不倫・浮気)の慰謝料請求権

不貞行為(不倫・浮気)を理由に配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求するケースです。
不倫等は、「悪意で加えた不法行為」や「故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為」に該当するケースは稀だと考えられます。
そのため、配偶者や不倫相手が破産した場合は、あなたの慰謝料請求債権も免責の対象になってしまい、破産手続きが終わった後で慰謝料を請求することができなくなります。
 

モラハラの慰謝料請求権

配偶者のモラハラを理由に慰謝料の支払いを求めているケースです。
モラハラは精神的な攻撃に当たりますが、「悪意で加えた不法行為」や「故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為」に該当するケースは稀だと考えられます。
そのため、免責の対象になってしまい、破産手続きが終わった後で慰謝料を請求することができなくなります。
 

悪意の遺棄をされたことを理由とする慰謝料請求権

悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の同居義務、協力義務、扶助義務を放棄することです。
家から追い出されたり、逆に家から出ていって帰ってこなかったとしても、それだけでは、「悪意で加えた不法行為」とまでは言えないことがほとんどです。
該当するのは、先に紹介したとおり、積極的に餓死させようとしていたといった特殊なケースのみです。
そのため、免責の対象になってしまい、破産手続きが終わった後で慰謝料を請求することができなくなります。
 

その他婚姻を継続し難い重大な事由があることを理由とする慰謝料請求権

その他婚姻を継続し難い重大な事由があることを理由に離婚した場合は、慰謝料を請求できることもあります。
代表的なケースが、特に理由がないのに性行為を拒否されていたといったセックスレスです。
しかし、こうした事由は「悪意で加えた不法行為」とまでは言えないことがほとんどであるため、免責の対象になってしまい、破産手続きが終わった後で慰謝料を請求することができなくなります。
 

離婚と破産の順番による慰謝料請求の違い

離婚した後で、相手方である配偶者が破産した場合は慰謝料請求できなくなるなら、破産した後で慰謝料請求すればいいのではないかとお考えになる方もいるかもしれません。
どちらのほうがよいのか解説します。
 

離婚前に破産する場合

相手方である配偶者が離婚前に破産し、離婚した後で、離婚の慰謝料を請求しようというパターンです。
このパターンを検討する場合、破産時は夫婦であることに留意する必要があります。
まず、相手方名義の資産の大半は、破産により差し押さえられてしまいます。
その結果、相手方はほぼ資産のない状態になります。
そして、差し押さえられる資産の中には、相手方名義でも、厳密には夫婦の共同財産に相当する財産が含まれている可能性があります。
そのため、財産分与としてもらえるはずだった財産がもらえなくなる可能性があります。
 
もちろん、破産した後で、再度財産を築けば、その財産について、財産分与を受けられますし、その財産を引き当てに慰謝料の支払いを求めることも可能でしょう。
ただ、慰謝料請求権の発生原因が、破産前に存在していた場合は、その慰謝料請求権も破産債権として扱われて、免責の対象になる可能性があります。
例えば、破産前の時点で、不倫が発覚していたというケースです。
いずれにしても、離婚前に破産する場合は、財産分与が受けられない可能性が高いことを考慮する必要があります。
 

離婚後に破産する場合

相手方である配偶者が離婚した後で破産したパターンです。
この場合は、離婚に伴う慰謝料請求権の大半は、破産前に生じていたことになりますから、破産債権として免責の対象になります。
慰謝料請求権以外では、「財産分与請求権」も免責の対象になります。
そのため、離婚後に相手方が破産した場合、受け取れるのは、未払の婚姻費用と養育費のみとなってしまうことが多いです。
 
なお、相手方が破産する前に慰謝料の支払いや財産分与を受けていたというケースなら、相手方が破産としたとしても影響はありません。
ただ、慰謝料の支払いや財産分与が破産手続きとの関係で、否認対象行為に該当すると判断されてしまった場合は、あなたが受け取った資産の返還を求められてしまうこともあります。
否認対象行為は、主に詐害行為と偏頗行為が挙げられます。
詐害行為とは、債務者が債権者を害することを知ってした行為のことで、代表的なのが、財産分与や慰謝料の支払いを装って、夫の資産を妻名義に移し替えてしまう行為です(破産法160条)。
偏頗行為とは、特定の債権者に担保を供与したり、債務を弁済する行為のことです(破産法162条)。
破産時にこうした行為が発覚した場合は、破産管財人が否認権を行使して、あなたが配偶者から受けた財産分与や慰謝料の返還を求めてくる可能性があります。
 

相手方が破産しそうなケースで慰謝料を回収するには?

相手方が破産しそうなケースでは、慰謝料を請求する段階で、戦略的な対応が必要になります。
 

示談する時点で保証人をつけておく

相手方の資産状態が怪しく、慰謝料を支払えずに破産する可能性がある場合は、相手方本人以外の人から回収することを検討しましょう。
具体的には、相手方に保証人を立ててもらい、相手方が破産したら、保証人に支払ってもらうことを検討します。
相手方が破産しても保証人が破産していなければ、保証人に対しては、保証債務として支払いを求め続けることができます。
 

減額したり分割払いに応じる

相手方が破産してしまえば、あなたの慰謝料請求債権は、原則として免責されてしまいます。
そのため、相手方を破産させずに、可能な範囲で支払ってもらうことを考えましょう。
具体的には、慰謝料の減額や分割払いに応じるといった対応が考えられます。
もちろん、あなたの慰謝料請求債権が非免責債権に該当する場合は、毅然として対応することも可能です。
 

相手方が破産した後で慰謝料を回収するには?

相手方が破産した後は、あなたの慰謝料請求権も、免責の対象になるため、相手方に請求することができないのが原則です。
例外は、あなたの慰謝料請求債権が非免責債権に該当する場合です。
 
もっとも、相手方と交渉したうえで相手方が任意に支払いに応じてくれるようでしたら、支払ってもらうことも可能です。
しかし、免責された慰謝料を支払う義務は相手方にはないため、支払いを強制することはできません。
 

まとめ

相手方に慰謝料請求権を有していても、相手方が破産してしまった場合は、原則として、慰謝料の支払いを求めることができなくなります。
相手方が破産しそうで慰謝料が支払われるか不安だと感じている方は、早めに弁護士にご相談ください。

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